勐腊で会った中国人の話

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中国に行ったことがないと中国人民に対して、ネトウヨが日頃騒いでいるようなステレオティピックなイメージを抱いているのではないだろうか。中国反日、韓国反日と周りが言っているから嫌中、嫌韓と思考停止に陥るのは良くない。
確かに俺も中国人に対して少なからぬ悪印象を持っているし、それを肯定して然るべき実体験も持ち合わせている。でも俺は去年1ヶ月かけて中国を北から南に縦断する中でそれだけじゃない中国人民の姿も知っている。勿論全員が全員優しい訳ではないが、それは日本人だって同じこと。

正直な話集合名詞としての「中国人民」はあまり好きではない。しかし中国人民について思いを馳せる時思い浮かぶのは、そこら中に(時には電車の通路にすら!)痰を吐き散らかす人民や、どこでもひたすら大声で怒鳴り散らす人民や、そこかしこにゴミを巻き散らかす人民でも、ちょっと話しかけただけなのに「あ゛ー!?」って大声で返してくる人民(これは中国旅したことのある人なら分かってくれると思う笑)ではなく、食堂のおばちゃんや、ゲストハウスのスタッフ、ドミで語り合った若者タチの顔や姿だ。そこには日本で一般的に語られているような中国人、とは全く異なる一面を垣間見ることができる。

そんなエピソードをおひとつ。

10月6日に1月14日以来約8ヶ月半振りに中国に入国した俺はラオスのルアンナムターから中国のモウロウ(モウは孟に力、ロウは臘、Meng La)までのバスチケットを買った(後に景洪までのチケットを買うべきだったと知るがその時はそんなこと知る由もなかった)。
朝8時出発予定を20分ほど遅れて出発したバスは中国時間12頃モウロウに到着した(ラオスと中国の時差は+1時間。つまりラオス時間11時、3時間弱でモウロウに到着した)。
国境にATMが無かったため俺はこのモウロウでキャッシングし中国元を調達し昆明へのバスチケットを購入、7日の朝昆明に到着する予定だった。

しかしキャッシングできるATMが中々見つからない。普通に考えてバスターミナルにATMがなかったとしてもその近くにあるはずだ。しかしこの街では無いらしい。1月中旬ベトナム入国時に中国元をほぼ使い果たしていた俺は中国元を手に入れるため総量30キロを超えるであろうバックパックを背負って銀行探しの旅に出た。

バスターミナルを出て歩き回ること約1時間。中国農業銀行を見つける。前回旅した時の記憶でここのATMはほぼ100%の確率でキャッシングできることは分かっていた。俺は心の中で楽天オープンで優勝した時の錦織以上に派手にガッツポーズを決めた。

しかし、このATMは俺のクレジットカード2枚ともを拒否した。

それから更に歩き続け中国農業銀行他2支店を含む数多のATMで拒否され続けた。

キャッシングできるATMをひたすら探しながら他の選択肢を検討し始める。バスターミナルの案内によると昆明までのバスチケットは252元(約4500円、1元18円で計算)。今の為替だと10000円を両替しても500元そこそこ。貴重なキャッシュはなるべく使いたくないが最悪仕方がない。アジア圏から離れると日本円の通用度、両替時の為替レートもだいぶ悪くなるのでここいらで使っておくのも悪くはない。

そんなことを考えながら銀行を探し求め3時間。バックパックを背負って歩き続けるにはさすがの俺も体力が限界に近づいてきた。

一度原点に帰ってバスターミナルに戻ることにした。常識的に考えてラオスとの国境近くの比較的しっかりした規模の街でキャッシングできるATMがないとか、両替所が無いなんて考えられない。

バスターミナルのインフォメーションで両替できる場所を聞いてみることにした。

勿論こんな田舎で英語が通じるなんて思っていない。しかし筆談である程度意思疎通を図ることができることは中国を旅する上で日本人の大きな強みだ。

両替
日元→中国元

これだけで通じた。
インフォの女性職員曰く雲南省なんちゃら信用所で多分できると言う。しかしそこでキャッシングも両替もできないことはすでに実践済みだ。

歩き方の巻末の中国語会話集もフル活用しながらどこなら両替できるか話し合う。

彼女は残念ながら英語を話すことができなかったがそれでもインターネットを使いながら中国語を英語に訳して説明してくれる(その話の中でその日もその翌日も昆明行きのバスは没有(メイヨー)だと言うことが判明する)。

最終的に彼女がタクシーの運転手に事情を話して銀行まで連れて行ってもらい両替が出来しだいタクシーの運転手に料金を払うということで話がまとまった。

タクシー代は決して安くはないが彼女の親切を無駄にするわけにも行かないし、銀行まで歩いていくには疲れすぎていた(なおタクシー代は7.3元でそんなには高くはなかった)。

銀行に着いてダメで元々でもう一度ATMでのキャッシングを試みる。やっぱりダメみたいだ。

次にタクシーの運転手が銀行職員に事情を説明する。そこで非情なる事実が判明する。

(少なくとも)今日は両替は出来ない。

そんなこと言われてもキャッシングもできない、両替もできない、中国元の手持ちは0。バスに乗ることは愚か今日の宿にすら泊まれない。

タクシーの運転手と銀行職員が話し合う中奇跡が起きた。奇跡という言葉はとっておきの時のために取っておきたいのであまり使いたくないがこれは奇跡という言葉で表現してもいいだろう。

突然日本語で話しかけられたのだ。
「日本人ですか?」と。

北京や上海ならいざ知らず、ここはラオスとの国境から30キロ程しか離れていない田舎町。そんなところで、しかも俺が銀行にいる正にそのタイミングで日本語を話すことができる中国人が近くにいるなんて!

そしてその日本語を話せる中国人羅さんも会話に加わり銀行職員と交渉が続く。正直タクシーの運転手は英語が話せないので話の経過が俺にはわからなかった。そんな中颯爽と登場した羅さんは色々俺に教えてくれた。

羅さんの言うことには、今は中国の祝日?らしく色々な場所が閉まっている。そのため今日は両替はできない。またこのモウロウと言う街は小さい街で銀行も少ないし旅行者もほとんど訪れることが無いので両替ができるところもかなり少ないと言う。

そんな中話し合いは継続したが、どんなに粘っても無理なものは無理だという。

キャッシングはできない。
両替もできない。
中国元の手持ちは0。

八方塞がりだ。

そんな中困りきった俺を見かねて羅さんがある提案をしてくださった。

「個人的に日本円から両替してあげましょうか?」

儀礼的に一度はお断りしたが、最終的に両替をして頂くことになった。

その日の為替は分からないが昨今の円安で1元18円台に乗った事は知っていた。銀行でどれだけコミッション拔かれるのか分からないがこちらから1元20円で両替して貰えないかと提案した。10000円で500元。切りもいい。それに何より羅さんに有利だと思われるレートにしたかった (後にこのレートは○○だったことが分かるがそれは後の話だ)。

羅さんはさらに電話番号まで教えてくれ「何か困ったことがあったら連絡して」くれとまで言ってくれた。

重たいバックパックを背負いながらATMを探し求め、歩き疲れ、荒み始めていた俺の心は一気に暖かい気持ちに包まれた。タイ、ラオスと旅しやすい、トラブルの生まれ辛い国では決して起こり得ないやり取り。久しぶりに人の優しさを心から感じる事が出来た。

羅さんに丁重にお礼をし無事に中国元を手に入れた俺はバスターミナルまで戻った。

ダメで元々「今天、昆明一个(今日の昆明行き一枚)」と言ってみるがやっぱり無いとのこと(没有って言われると理由の如何に関わらず凹む中国あるある)。仕方がないから景洪までのチケットを37元で購入しモウロウを出発した。

結論から言えばルアンナムターからモウロウ行きのチケット(50000kip約650円)を買うのではなく最初から景洪行きのチケット(90000kip約1200円弱)を買っていればこんな苦労もせず、時間も掛からず昼過ぎに景洪に辿り着いていたのだが、久しぶりの中国で無私の優しさを感じることが出来た。

中国、悪いところも多いけどそれと同じ、もしくはそれ以上に良い所も一杯ある国です。