過去と未来と、西と東と Penang

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電車の出発が深夜だったので時間としてはほとんど眠れなかったが思っていたほど眠気もなく、疲れもなかった。
タイとマレーシアの国境近くの街、ハジャイに着いたあたりから車内が少しずつ騒々しくなっていく。7時前後から夢と現の間をゆっくり行ったり来たりしながら、8時前に電車は国境に着いた。国境でも特に面倒なことは起こらず簡単に荷物検査を受けただけ。電車は再び走り出す。
ペナン島への玄関口バターワースに着いたのは昼過ぎだった。駅でマレーシアの時刻表をもらい、ATMからマレーシアのお金を引き出す。昼食にナシゴレンを食べ、フェリーに乗ってペナンの中心地ジョージタウンを目指す。
マレーシア、この国に対するイメージは正直言ってほとんどなかった。旅行好きな友人は多々いるが、マレーシアの話を聞くこともほとんどなかった。フェリーから見るジョージタウンの街並みは過去と未来を綺麗に融合させている、そんな印象を持った。シンガポールにも通じる赤い屋根のコロニアル建築、その建築物群を囲むようにコンドミニアムを中心とした高層ビル群が林立している。
都会だ、この街は都会だ。
それがその街の、そしてこの国の最初の印象だった。
宿にチェックインして街をうろつく。コロニアル建築がある部分は街に占める割合としてはかなり少なく、大半は中国式のショップハウスになっている。一階が商店、二階が居住スペースになっているこの建物はマレー半島の華僑にとっては一般的なようでタイのプーケットタウン、シンガポールなどでも見かけることが出来る。中国人とマレー人の子孫をババ‐ニョニャ、もしくはプラナカンと呼びこれらの建築様式はプラナカン様式と呼ばれる。ここジョージタウンにはそのプラナカン建築の最高傑作と呼ぶべき建築物がいくつかあり、中を見学することが出来る。これらの人々は中国から肉体労働者としてやってきて、鉱山労働やプランテーションで働きながら富を築き、大邸宅を拵えたらしい。その心意気、強さに嘆息する。
ペナンで楽しいのはなんといっても食べ歩きだ。朝は早くから夜も遅くまで街中の至る所に屋台が出ている。一食RM3~8程度日本円にすると100~250円程度で美味しい料理を堪能することが出来る。マレーシアの料理は複数の国、人種、文化のミックスだ。華僑がもたらした中華料理、印僑がもたらしたインド料理、西洋人のもたらした西洋料理、そして土着のマレー料理。これらの料理が相互に影響しあいマレーの風土に合った料理を作り上げている。
マレー版海鮮焼きそばチャークイティオはきしめんの様な平麺をエビなどのシーフードとともに炒めた料理でこれが美味しくて何度も食べた。ワンタン麺と言う名前なのにチャーシューがメインなワンタンミーはそのあっさりした味から朝食に最適だ。リトルインディアに行けばインドより美味しいインドカレーが食べられるし、マレー版ナンとでもいうべきロティチャナイはダールカレーもついてRM1(≒33円)しかしないのだ。暑さにやられたときはマレー版かき氷のアイスカチャンかマレー版あんみつチェンドルを頬張る。頭がキーンとする感覚が懐かしい。
ジョージタウンの街は小さい。人によっては一日で周ってしまうだろう。そして、大したことなかったと次の街に向かって行くのだ。正直私もこの街にはそんなに長居しないつもりだった。2泊か3泊かして南下する予定だった。それが一週間も滞在してしまったのは食事が美味しかったからだけではない。街歩きが楽しいのだ。この街は至る所にストリートアートがあり、観光マップにもどこに行けばそのアートが見られるかがしっかり記されている。これをテクテクと散歩がてら探して歩く、小さな路地に隠れているところもありこれだけでも結構楽しめる。街の観光名所はそれぞれはとても小さく一か所10分とか30分とかで見終わってしまうところがほとんどだが、街を歩くだけで人々の日々の生活の営みがあり、古いものと新しいものを融合した世界があり、興味深い。なぜこの街だったのかはよくわからないが本当に久しぶりに街歩きが楽しい!という感覚になった。毎日毎日同じ道を、違う道を歩く。なんど通っても飽きることはなかった。
世界遺産に登録されているのはジョージタウンだけだが、ペナンには他にもいくつか見どころがある。
一つはペナン島北西にある国立公園。猿が見られるらしいモンチービーチとウミガメの産卵地タートルビーチが特に有名でビーチまではジャングルの中をトレッキングして進んでいく。入場料等もかからず高低差もあまりないので日頃の運動不足解消に丁度いい。もう一つはペナン島中心部に近いところにある極楽寺。マレーシア最大の仏教寺院で中国、タイ、ビルマ様式が混在したパゴダや、巨大な菩薩像は圧巻だ。
そんな郊外の観光名所を訪れたり、食べ歩きをしたりしているうちにあっという間に時間は過ぎていく。
このままズルズルと居続けるわけにはいかない。そう思い重い腰を上げて友人に勧められたマレーシアの軽井沢キャメロンハイランドに向かうことにした。