【読書録】『ぼくがいま、死について思うこと』椎名誠

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椎名誠といえば超が付くほど有名な作家だ。昔からよく旅をしており、旅に関する著作も多い。

今日はそんな椎名誠の『ぼくがいま、死について思うこと』を紹介したい。

椎名誠と俺の出会い

俺が椎名誠の著作を読むのはこれが2作目だ。1作目は小学生のときに読んだ『わしらは怪しい探検隊』。いささか表現が冗長なきらいはあるが、シニカルで軽快な装飾が子供心に面白く、一気に読んだことを10年以上経ったいまでも覚えている。当時両親によくキャンプに連れて行ってもらっていたことから、島でのキャンプに憧れたものだ。

『怪しい探検隊』から月日は流れ、海外にバックパック一つで旅行に出るようになった。そんな頃から椎名誠の他の著作も読んでみたいなと思ってはいた。しかし、どの本から読み始めたらいいものか、なかなか踏ん切りが付かずにいた。

(そのころちょうど発売された『国境越え (新潮文庫) 』か名著との呼び声も高い『インドでわしも考えた (集英社文庫) 』で悩んでいた)

図書館でこの本に出合う

結局それからも月日が流れ今日に至るわけであるが、会社を退職し海外放浪の旅に出るまでの間の実家暮らしのさなか、町の図書館でこの『ぼくがいま、死について思うこと』を発見した。発売も今年の春と新しい。タイトルは「死」についてということで内容が重そうに感じたが、目次を見てみると「鳥葬」「砂漠」など海外要素もありそうなので借りて読んでみた。

本作の概要

中身はこれまで「死」についてほとんどといっていいほど考えてこなかった椎名誠が人間ドックや主治医との会話の中で自らの「死」について考え始め、これまで椎名が遭遇した身近な死や海外での死、葬儀のしきたりなどを掘り下げていき、最終的に自分はどのように死にたいかということを考えるというものである。

「死」と文化、宗教

この本で印象的だったことは人の「死」についての考え方、葬儀についての考え方はその人が属する、土地や文化、宗教に大いに制約されるということだ。

日本では火葬が一般的だが、世界には実に多くの葬儀の方法がある、土葬、水葬、鳥葬、風葬etc.それぞれがそれぞれ独自の文化、やむをえない自然環境の制約によって生み出されたものだ。そして同じ葬儀であっても所属する文化圏が違えば意味合いも違ってくる。

例えばチベットとゾロアスター教ではともに鳥葬を行うが、チベットでは魂が抜けてしまったあとの体はただの抜け殻であり、その抜け殻をハゲタカなどに施すという考え方をする。

一方でゾロアスター教では死体は最も汚れたものであり、火水土風を神聖なものとするゾロアスター教(日本語では拝火教とかく)では火葬では火や大気を汚し、土葬では土を、水葬では水を汚すとして沈黙の塔と呼ばれる塔に遺体を置いて鳥に食べさせるのだ。

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(写真はイランのヤズドにある沈黙の塔)

感想

正直、俺はまだ50年くらい死ぬことはないと思うし、死について深く考えたことはこれまでない。

考えても仕方がない、という思いもある。 とはいえ、この本は自分の「死」を考えること以上に世界中の「死」についての考え方を知り、文化の違いを知る助けになるだろう。 最後に、各国の葬儀費用の数字の比較で日本があまりにも高額だったのでその数字を記して終わりたい。

  • アメリカ:約44万円
  • イギリス:12万円
  • ドイツ:20万円
  • 韓国:37万円
  • 日本:230万円

うーん、ちょっと考えされられはしませんか? (2013年8月12日読了)