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巡礼前夜ーサンティアゴ巡礼日記1

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今回の長期旅行に出る前からこの旅行中に絶対やりたいことがいくつかあった。

カミーノ・デ・サンティアゴ・デ・コンポステーラ、サンティアゴ巡礼はそれらのやりたいことのなかでも常にトップランクに居続けた。私は今回の旅行でスペインに既に2回訪れている。しかし、シェンゲン圏内に最長90日間しか滞在できないというルールのために過去2回とも巡礼に至らなかった。

昨年12月23日の夕方パリからワルシャワへ向かうバスに揺られながら3ヶ月東欧で時間を潰したらすぐにでも巡礼に向かおうと思っていた。

しかし、結局私がこの巡礼路に旅立つのは結局それから6ヶ月以上もの月日を要することになった。何はともあれ巡礼の始まりである。

カミーノとは

巡礼路

サンティアゴ巡礼、以後スペイン語に習ってカミーノ(Camino)と呼ぶ、のことをよく知らない人のために簡単に説明しておくと、カミーノはスペイン西部にある聖ヤコブをまつるカトリックの聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラを徒歩または自転車で目指す巡礼のことである。

巡礼道は今回私が踏破を目指すフランス人の道の他にも北の道、銀の道、ポルトガルの道など複数ある。距離も道によって長短ありフランス人の道で約780km、北の道で約800kmある。

巡礼道はユネスコの世界遺産にも登録されているが、スペインの巡礼道とはまた別に「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼道」というスペインへ続くフランス国内の巡礼道も別途世界遺産に登録されており、フランスから1,000km、1,500kmもの道のりを歩いてサンティアゴを目指す巡礼者も中には存在する。

きっかけ

800km近く歩く、という話をするとなぜそんなことをするのか?とよく人から聞かれる。

なぜ、と言われても特に思い当たる理由は正直のところない。あるときなんとなくそんな道があるのならば歩いてみたい。そう思った、ただそれだけのことである。

別に今回の旅行で私が『深夜特急』の影響を受けたように、パウロ・コエーリョの『星の巡礼』に影響を受けたわけでもなければ(それどころか恥ずかしながら読んですらいない)、映画の影響を受けたわけでもない。

強いてあげるならばただ歩くのが好き、それだけの理由だ。

それだけの理由で重たい荷物を背負って800km以上も歩くんだから(今回はフランス人の道780kmのあとさらに追加で約100km大西洋沿岸の街フェステーラまで歩こうと思っている)オレの頭は狂っているのかもしれない。

まあ理由なんて正直どうでもいい。行きたいから行く。歩きたいから歩く。やりたいからやる。それだけのことシンプルなことだ

巡礼ブルー

ずっと楽しみにしてきたことなはずなのになんだか気が乗らない。

ペルーサンでの蔵人修行を終えパリに戻ってきてから巡礼に向かうまで1週間かかった。本来ならすぐにでも出たかったところだがなぜか気が向かない。一度は取ろうかどうしようか悩んだバスが売り切れて途方に暮れた。

巡礼に限ったことではない。長旅に出る前もそうだった。

これに関しては沢木耕太郎さんが『旅する力』のあとがきで書いていた。うろ覚えだが沢木さんのサイン会に来た女性が、ずっと楽しみにして来た長旅を前にして、会社まで辞めてしまったににも関わらず旅行をやめてしまおうかどうしようか考えているというような相談をしたとのことだ。

沢木さんは答える「一度旅に出たらすぐに旅に入っていけるだろう」というようなことを。

私もそうだった。日本を出国する2週間前くらいからだんだん憂鬱な気分になって来て、でも実家を出てから今に至るまで一度たりとも旅に出たことを後悔したり旅に飽きたりしたことはなかった。

きっと今回の巡礼もそうなるだろう。

パリ→バイヨンヌ

バイヨンヌへ向かうバス

「ごはんできましたー。」

朝8時半タンさんの声が響く、ベッドから気だるい体を起こし顔を洗う。パリの定宿ドリームハウスの半ば飽きた朝食をもぞもぞと口に含む。ご飯と味噌汁だけはどれだけ食べても飽きないのがせめてもの救いだ。

この日の夕方パリを発つ。マルシェ・バスティーユに行き、慣れ親しんだパリの街をぶらぶら歩く。時間になり宿に戻り、荷造りを済ませバスの出るガリエリに向かった。

ガリエニでは同じ時間、同じバス会社、同じ方向へ向かう同じ宿に泊まっていた旅行者と向かったが、違うバスだった。

到着時間が早いので早めに眠りにつく。バスはトゥール=ポワティエ間を縦断したがポワティエに着く前に眠りに落ちていった。

朝3時、ボルドーにて新たな乗客を多数迎える。それまで2座席を1人で使っていたが隣に乗客が来た。不幸にもその乗客の連れはワインボトルをラッパ飲みする酔っ払いで夜遅くにも関わらず1人で喚き散らしていた。バイヨンヌ手前に来てほとんど眠ることができなかった。

バイヨンヌ

バイヨンヌには朝5時に到着した。あまりに早いのでバス停向かいのベンチに横になり夜を明かす。

夜が明けてからバイヨンヌの街を歩いて流す。古いお城、城壁、可愛らしい街並み。初めて見るバスクの旗とバスク語。眼に映る多くのものが新鮮だった。

バイヨンヌの街並み

バイヨンヌは巡礼の出発地であるサン・ジャン・ピエ・ド・ポーへ向かうためのただの通過地点だったが、友人からフランスに初めてチョコレートが伝わった地であること、ホットチョコレートが有名であること、そしてその有名店を教えてもらったので行ってみることにした。

こういうときに教えてもらったところに行って外れたことはほとんどない。

創業時からほぼ変わらぬ味を貫き通すカズナーヴ(Chocolat Cazenave)のショコラムスー€6.1。アワアワは手作業らしい。

ショコラ・ムスー

それ単体だと甘々だがシャンティイクリームを入れると甘さがマイルドになっていくらか上品になる。

バイヨンヌ名物を堪能した私はカミーノの始点であるサン・ジャン・ピエ・ド・ポーへ向かった。

サン・ジャン・ピエ・ド・ポー

サン・ジャン・ピエ・ド・ポーの街並み

バイヨンヌからカミーノフランス人の道の始発点サン・ジャン・ピエ・ド・ポーへは電車で約1時間、乗車賃は€10.10。

駅に着くと私と同じような巡礼者が多数待合室で待っていた。いよいよ巡礼が始まるのだという気持ちが否が応でも高まる。

サン・ジャン・ピエ・ド・ポーへの切符

海に近いバイヨンヌからピレネー山脈に近い山間の街に向かう。車窓には草原、山、放牧された家畜が流れ、のどかで豊かなフランスの田舎が通り過ぎて行く。

サン・ジャン・ピエ・ド・ポーの駅に着いてからは流れについて行けば自然と巡礼事務所に着く。到着時は昼休憩中だったので30分ほど時間を潰す。

クレデンシャルと呼ばれる巡礼手帳を手に入れ、スタンプを押してもらう。

巡礼手帳クレデンシャル

その場で当日の巡礼宿、アルベルゲの予約もしてくれた。朝夕2食付きで€15、フランスではありえないくらいの破格だ。

巡礼宿が開くまで時間に余裕があったのでサン・ジャンの街を適当にふらふら散策する。小さいが石造りの綺麗な街並みが並ぶ素敵な街だ。

城塞から見下ろすサン・ジャン・ピエ・ド・ポーの街並み

徐々に巡礼に気持ちが向かって行く。

なんてことはない。日本を出た時と同じように、すぐに巡礼の旅に入って行けそうだ。

明日はフランス人の道初日にして最難関のピレネー越え、さらに運の悪いことに雷雨予報。これを乗り越えたらもう以降楽しかないじゃないか。

 長い長い巡礼の旅が始まる。

Saint-Jean-Pied-de-Port 7, July, 2017

巡礼初日の旅行記に続きます。

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