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北朝鮮を訪問するということについて思うこと

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旅行記

2013年12月に北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国を訪れた。今回は北朝鮮を訪問するということについて私が思うことについて書いてみたい。

 

北朝鮮を訪問するということの是非。

 

このことについては賛否が分かれることだと思う。いや、もっと正直に言うと否の方が圧倒的に多いだろう。

外務省の海外安全情報は当時「渡航を自粛してください」となっていた。理由は北朝鮮の核開発、ミサイル開発が日本国の安全保障を脅かし、また拉致問題においても誠意ある対応を全く見せていないことなどだ。

北朝鮮は日本とは国交がない。当然大使館も領事館もない。

北朝鮮を訪れ、そこで落としたお金が北朝鮮の核開発やミサイル開発などに使われる可能性がないとは言えない、と言うレベルではなくむしろ可能性は非常に高いと言えるだろう。そのことを嫌気して北朝鮮を訪れるどころか各都市にある朝鮮レストランを訪れることすらけしからんと言う人もいる。

日本国民として論理的に考えたら訪れるべきではないことは考えるまでもなく明らかだ。

 

それでも、私は当時の北朝鮮を訪問してみたかった。

それはなぜか?

それは北朝鮮が遠からぬ未来決して訪れることのできない都市になるのではないかと感じていたからだ。

ノンフィクションライターの沢木耕太郎さんが著書の中で、もう決して訪れることのできない都市について書いている。

そこで例示されていた都市は東西分裂時のベルリン、陥落前のサイゴンなど。ベルリンもサイゴン(今ではホーチミンシティと名を変えていますが)も都市そのものは今も存在しているが、その当時の空気を今感じることはできない。決してできない。そういった意味で決して訪れることのできない都市だと。(今手元にその本がないためうろ覚えで申し訳ないが、『1号線を北上せよ』の中の「メコンの光」だったと記憶している。)

私は北朝鮮の今の体制は非常に歪で、長期間続くものではないと思っている。もちろん1年2年であの体制が崩壊するとは思えない。かといって10年20年続くようにも思えない。

その時、どう思うのか。あの時行っておけば良かったと思うのではないか。

それが北朝鮮を訪問したいと思った理由だ。

 

北朝鮮を訪れるにあたってもちろん自身に身の危険が及ぶ可能性を考えないではなかった。しかし北朝鮮に行ったことのある何人かの知人の話を総合するとよほどのことがない限り問題ないであろうという結論に至った。

そうとはいっても北朝鮮の領土内にいるうちは拉致されるのではないか?この車はまっすぐホテルに向かってくれないのではないか?出国の手続きでいちゃもんをつけられ拘束されるのではないか?などいろいろな考えが頭をよぎったこともまた事実。

新義州での出国手続きを終え、丹東のホームに無事降り立った時非常に安堵したことを今でもはっきりと覚えている。

 

「俺は無事帰ってきた」と。

 

その当時は中国旅行にだいぶ辟易していた。一刻も早くこの国から抜け出して東南アジアの風に吹かれたいと思っていた。

それでも、そんな中国でも北朝鮮から来たら天国のように感じた。

ロシアから中国に入国する際に私はスパイ疑惑を掛けられ取り調べを受けたりした。チベットやウルムチでの弾圧を見る度に中国の公安にだけは目を付けられてはいけないなと感じていた。

それでも、北朝鮮ほどではなかった。

北朝鮮の旅は表面上は非常に快適だ。バックパック背負った節約旅行者にとっては快適すぎるくらいだ。ホテルは特級、食事は全食インクルードされており酒も望めば飲み放題。私一人のためにガイド二人に専属ドライバーまでつく。字面だけ見たらこれ以上望むべくもない。

それでも、その快適さの裏に見え隠れする「何か」。

もちろんそんな「何か」なんて存在しないのかもしれない。あの国はちゃんと金を払ってくれる「顧客」に対しては非常に誠実なのかもしれない。

でもそんなことはわからない。

わからないからこそ勘ぐる。だから、キツい。

 

それらも踏まえて北朝鮮を訪問してどうだったか。

これはもしかしたら、いやもしかしたらじゃなく間違いなく何もなかったからこそ言えることなのだが、それでも私は北朝鮮を訪れて良かったと思う

ガイドに日がな一日中反日的な言葉を浴びせかけられ、時には侮蔑の表情を向けられ、悔しくて、いっそ殴ってやろうかと思う気持ちを抑えつけ、耐えに耐えた4日間。何が楽しかったのかと言われると楽しかった記憶は正直あまりない4日間。

でも、今この時期の北朝鮮を見れたことは非常に貴重なことだと思う。いつこの体制が崩壊するのかなんて誰にも分らないけどいつか崩壊したその時に、この時の経験はかけがえのないものになるのだと思う。

旅してるといいことばかりではない。なんで貴重な時間と、金を使ってこんな思いしてるんだろって思うこともある。でも、それがきっといつかかけがえのない思い出になるのだろう。思い出になったらいいな。

 

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