【ベルギー】ランビックビールで有名なカンティヨン醸造所を見学してきた

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カンティヨン醸造所外観

どうも!三矢(@hideto328)です。

今回紹介するのはベルギーの首都ブリュッセルにあるカンティヨン醸造所。ここはコアなビールファンにしか知られていない「ランビック」というスタイルのビールを醸造しているブルワリーです。古くからの伝統的な手法を今に伝えるかなり貴重な醸造所なのです。

マニアック過ぎてすみません…。でも、僕ランビック好きなんで許してください!

ランビック・ビールとはどのようなビールなのか?

ランビックビール

突然ですが、歴史上もっとも古いビールの記録は古代メソポタミアまで遡ります(紀元前3,300~3,000年ころ)。そしてビールの醸造が始まったのはそれよりさらに数千年も昔だと考えられています。当時は今のように微生物や発酵の知識がなかったため、醸造は自然の力に頼っていました。

麦汁に大気が触れることで、空気中に含まれている微生物が根付き発酵させます。これを自然発酵といい、19世紀にパスツールが酵母を発見するまでは全てのビールはこの自然発酵によって作られていました。酵母菌を管理できるようになり、ビールの醸造は格段の進歩を遂げました。

さて、今この時代にも数千年前から続く自然発酵によって醸造しているビールがただ一つだけあります。そう、それが「麦のワイン」とも呼ばれる「ランビックビール」なのです。ブリュッセル南西部のゼナ川流域で醸造されているビールのみがランビックビールを名乗ることが許されます。

家族経営の醸造所カンティヨン

カンティヨンの看板

カンティヨン醸造所は1900年から家族四代にわたってこの伝統的な製法に基づくランビックビールを、大手資本の傘下に入ることなく作り続けてきました。ここでは今でも19世紀の醸造施設を使っています。

歴代経営者

年間醸造できるビールはわずかに170kl。ランビックは一度衰退したのですが、1990年代に伝統製法のビールへの関心が高まってきたそうです。しかし、熟成に時間がかかるランビックは大量の貯蔵スペースが必要なために醸造量を増やすことができず、需要に供給が全く追いついていない状況なんだそうです。

普通だったら需要に合わせて何とか供給を増やそうとするところですが、カンティヨンでは伝統的な製法を維持するためこれ以上醸造量は増やさないそうです。

カンティヨンの醸造所見学セルフツアー

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カンティヨン醸造所はそんな伝統製法を維持している醸造所をセルフツアーで見学することができます。工場見学は平日の9:00~17:00、土曜日の10:00~17:00の間。

扉をくぐると歴史を感じさせる佇まい!

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カンティヨンの代理店。世界中に輸出されていることが分かります。もちろん日本も!

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料金は大人7ユーロ、12~18歳と60歳以上は1ユーロ割引の6ユーロです。

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最初にスタッフから簡単な説明を受けパンフレットをもらいます。パンフレットには日本語もあるのでそれを読みながら進んでいくことになります。

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いざ伝統醸造の世界へ

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それではランビックビールの醸造所見学へ移っていきましょう。

ホール1:マッシング槽のある場所

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ビールの原料である小麦と大麦麦芽を2階にある粉砕機で粉砕し、ここにあるマッシング槽に投入します。この麦芽にお湯を加えて温度を上げることで麦汁が出来上がります。この過程で麦の澱粉が糖に変換されます。ビールのアルコールはこの糖が酵母によって発酵されることで発生します。

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粉砕されたモルトは2階から投下されます。

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マッシング槽の中はこんな感じ。ここで麦芽とお湯が攪拌されます。

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階段を上って2階に進みます。

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ホール2:煮沸釜および粉砕機のある場所

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ホール1で作った麦汁がポンプで汲み上げられてきます。ここで麦汁を煮沸することで麦汁が殺菌されます。ここでランビックならではの特徴が一つ、煮沸を始める前に麦汁に「古く放置したホップ」(3年物)を加えます

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年代物!

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中はこんな感じになっています。ここで煮沸します。

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この粉砕機で小麦と大麦を粉砕します。この作業は結構慎重な調整が必要な作業で、細かくなりすぎるとろ過が上手くできず、大きすぎると糖分を効率的に取り出すことができず、コストが上がってしまいます。

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この隅に置かれているタンクはボイラーです。ホール1で粉砕した麦芽に混ぜて麦汁を作るのに使われます。

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壁を無造作にぶち抜いててビビりました。

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ホール3:穀物倉庫

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ビールの原材料は風通しのいい屋根裏で保存されます。この穀物倉庫に原材料が積み上げられているのはビール醸造が行われる10月中旬から4月初旬にかけてのみとのことで、私が訪れた1月中旬はちょうどそのさなかだったので、こんなにも沢山の原材料が積み上げられていました。そんなことは知らずに訪問したのでラッキーでした。

恐らく風通しや気温などを調整するためでしょう。屋根には開閉できる場所が何か所もありました。

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もの凄い量の原材料たち!

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あっちにもこっちにもうず高く積み上げられています。

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ホップの破片があちらこちらに。う~んいいですね~。

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昔使っていたのでしょうか?

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ここではビール工場でありがちな原材料の説明も。

大麦麦芽

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大麦を麦芽にする作業は製麦所で行います。

小麦

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カンティヨンではブラバンド地方産の、そのままの小麦(麦芽にしていないもの)を使っています。この点がヴァイツェンとの大きな違いです。

ホップ

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ビールに苦みを付け、保存性を高めるホップ。カンティヨンでは、保存料としての効果を十分に得るため、普通のビールの2~3倍ものホップを使用しているんだとか。そして、それだけ多くのホップを入れて苦くなりすぎないように、ホール2で説明した「古く放置したホップ」を使っているんだそうです。

ホール4:冷却遭

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階段を上るとそこには冷却槽が。

煮沸を終えてホップを取り除いた麦汁がこの冷却槽に流し込まれます。麦汁を効果的に冷やすために、広く浅く表面積が広くなるように作られています。麦汁を夜の冷気にあてて必要な温度まで自然の力で冷却します。これができるのは寒い季節だけです。そのためカンティヨンでは10月中旬から4月初旬にかけてのみビールを醸造しています。元々はどこの醸造所も冬しかビールが作れなかったのですが、科学技術の進歩で通年生産できるようになったのです。

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この冷却槽のある屋根裏は色々なところが開くようになっていて、天候の変化に応じて乾季を調節できるようになっています。

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さて、ランビックビールは野生酵母が自然に根付くことによって発酵が始まります。煮沸によって完全に殺菌された麦汁に野生の酵母が風に乗って運ばれてきて、自然に根付く。この冷却層がある屋根裏は、「醸造家にとっては、独特の微生物群が生きる聖域と見なされている」と貰ったパンフレットには記されていました。

一晩冷却した麦汁はこの穀物倉庫の隅にあるステンレス製の容器に移されます。ここで温度と、糖分の量が調整されます。

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分かりづらいですが中はこんな感じ。

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ホール5A:樽貯蔵室

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十分に冷やされ、調整された麦汁はオーク材か栗でできた樽に入れられます。ワイン造りでは樽の材質は重要なようですが、ランビックで重要なのはビールが外気と呼吸することができること。樽の材質はあまり重要ではありません。ワインやコニャックなどが作られた樽を調達してきて使っているそうです。樽の中でゆっくり熟成されたランビックはワインのような香りを持ち始めるので「麦のワイン」とも呼ばれています

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ずらりと並ぶ木樽、圧巻です!

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ケグも置いてありました。

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ランビックビールには1年物、2年物、3年物のランビックをブレンドし、瓶に詰めて再発酵させたグーズ・ランビックや、2年物のランビックに、サクランボを付け込み瓶詰め後再発酵させたクリーク・ランビックなど様々なバリエーションがあります。

そのバリエーションを作るため、最低1年以上木樽の中で熟成させます。その過程で発酵でできた二酸化炭素は飛んでしまうので、ランビックはビールとは言え、炭酸はほとんどありません。

ホール5B:グーズとフルーツ・ランビック造り

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グーズ・ランビックは1年物、2年物、3年物のランビックを醸造家がブレンドして作ったもの。なぜ年数の違うランビックをブレンドするのかと言うと、野生酵母によって自然に発酵させるランビックは、味が仕込みごとに違う可能性があります。そのため複数のランビックをブレンドすることで、ビールの質が一定になるようにしているのです。

このレトロな機械は酵母をろ過する機械。

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ここで自然発酵のランビックビールを醸造する醸造所ならではの光景を一つ。

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蜘蛛の巣がかかっているのがわかるでしょうか?

一般的な感覚だったら、「食料品を作っているところで蜘蛛の巣なんてけしからん!」と思うところでしょうが、これにはちゃんとしたわけがあるんです。

ビールの発酵や、フルーツ・ランビックに使う果実などによってこの醸造所には虫が集まってきます。だからと言って殺虫剤は使えません。ランビックの醸造に必要不可欠な野生酵母も殺してしまうからです。そこで、蜘蛛によって虫を片づけてもらうようになったんですね。

私も小さいとき祖父に言われたことがあります。蜘蛛は害虫を食べてくれるからむやみに殺してはいけないのだと。現代でも自然の力でビールを発酵させている醸造所は自然と共存する方法も受け継いでいるのです。

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ホール6:樽の洗浄

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ランビックを長期間熟成した木樽は手作業で洗浄されます。まず手でブラシなどを使い洗い、その後高圧洗浄装置で洗います。次いで、蒸気に充てて微生物を完全に殺菌します。最後にここにある機械に樽をセットし機械によって洗浄します。洗浄した樽はカビが生えないように硫黄で殺菌され次の機会まで保存されます。

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ホール7:ボトリング

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1階に降りてきました。

ホール5Bでろ過されたランビックはここで瓶詰装置によって瓶詰されます。

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この機械も年季入ってそうです。

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瓶詰されたランビックは天然コルクで栓をし、さらに王冠で固定します。王冠で固定しないと夏に高温でコルクが飛び出してしまうことがあるそうです。

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瓶詰が終わったランビックはベルトコンベヤーで地下の貯蔵庫に運ばれていきます。

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う~ん、レトロな機械。

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ガガガガガー。

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ガガガガガガガー。

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ホール8:地下の貯蔵庫

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見てくださいこの瓶の量!!

瓶詰されたランビックは地下の貯蔵庫で保存されます。驚くことに、貯蔵状態が良ければこの伝統製法で作られたグーズは25年以上美味しさを保つことができるんだとか!25年以上!!

さて冒頭、年間170klしか醸造しないと書きましたが、このビールは瓶内で再発酵させるため最低6か月は保存しないといけません。そのため全貯蔵庫で平均80,000本もの便が貯蔵庫に置かれているんだそうです。ここから出荷されるビールは約3年を経たものだそうです。

「現代版」ランビックと「伝統的」ランビック

これまで見てきたように自然発酵でビールを醸造するのは非常に手間暇コストがかかります。そのためカンティヨンの様に伝統的製法でランビックを作っている醸造所はわずか。大手醸造業者は費用削減したグーズやフルーツ・ビールを大量生産しているそうです。カンティヨンが何年もの時間をかけてランビックを醸造する一方、これらの「現代版」ランビックは数週間で完成するそうです。そして、ベルギーの法律に伝統製品を保護する法律がないため消費者は瓶のラベルから「伝統的」なランビックなのか、「現代版」ランビックなのかを区別できないようになっているそうです。

カンティヨンでは人工的なものは一切使っていません。さらに1999年からは有機農法で作られた穀物しか使わないようにしたそうです。

カンティヨンの2つの目標

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パンフレットに書かれていたカンティヨンの創業当初からの2つの目標を紹介します。

ひとつは、自然発酵ビールを作ることによって、数千年もの伝統ある醸造方法を残したいということ。
そして、もうひとつは、ビール本来の自然の味を知らしめ、最高の原材料を探して造ることによって最高品質を追求すること

先の、「現代版」ランビックと「伝統的」ランビックのところでも説明しましたが、カンティヨンは創業時から変わることなく、伝統を継ぎ、最高のビールを作ることを追求し続けているのです。

お待ちかねの試飲タイム!そのお味とは?

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さてさて、お待ちかねの試飲タイムです。ここまでカンティヨンの伝統とこだわりを見続けてくると今すぐにでも飲みたくなってきますよね!

カンティヨンでは、醸造所見学の後ランビックを試飲することができます。しかも2杯

醸造所内に小さなバーが併設されているのです。

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さてさて、ランビックの味ですが、知らないで飲んだらびっくりすると思います。

このビール強烈に酸味が強いんです。そしてそれこそがランビックのランビックたる所以。数千年前に飲まれていたビールもきっとこんな味だったのでしょう。

上で「麦のワイン」と称されると書きましたがまさにそんな味です。炭酸はありますが弱く、酸味が強いのでビールと言うよりスパークリング・ワインに近い印象を受けます。この酸味が、初めて飲んだ時は、「!!?」となるのですが、癖になるのです。ビールの世界の広さを知るにはもってこいのビールです。

ランビックには古いホップを使うので「馬の毛布のにおい」と形容される,独特の香りがあると言われていますが、僕にはよくわかりませんでした笑

ランビックの説明も終わったことですし、いよいよ試飲です。試飲は1杯目はランビック(1年物)、2杯目はグーズ・ランビックかフルーツ・ランビックから好きな方を選べるようになっています。

1杯目:ランビック(1年物)

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試飲の一杯目は1年物のランビックです。これは貴重ですよ。前述した通り、ランビックは品質を一定に保つため、基本的にブレンドして出荷されていきます。ここではブレンド前のランビックを飲むことができるのです!

テイスティング・ノート

外観:少し白濁した黄色、泡はほとんどない

アロマ:シャンパンのような香り。

ボディ: ミディアム〜フル

フレーバー:酸味が際立つ。苦味の強いシャンパンのような味。多少のエグミがある。甘みは弱い。

全体印象:エグミと苦味が強く、これだけで飲むのは結構辛い。

2杯目:グーズ・ランビック

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私とランビックとの出会いはクリーク・ランビックだったのですごく悩んだのですが、ランビック本来の味わいをせっかくなのでもっと堪能したい、とグーズ・ランビックを選びました。

テイスティング・ノート

外観:より色が濃くなり白濁の度合いも増す。2次発酵の影響か泡が増える。

アロマ:柑橘系のようなアロマが加わり華やかに

ボディ:ミディアム~フル(1年物よりははるかに重い)

フレーバー:強い酸味の奥にほのかな甘みとホップの苦味が潜んでいる。

全体印象: 味と香りに深みが増しビールとしての完成度を高めている。

飲み足りない人や、別のランビックも飲みたい方はここでキャッシュオンで飲めます。一杯3ユーロはベルギーの飲み屋では安い方だと思います(他では大体3.5ユーロくらい)。

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試飲室の後ろに貼られてた看板。歴史を感じさせます。

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ショップも併設

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醸造所ではカンティヨンで醸造されているビールはもちろんカンティヨングッズも販売されています。ツアー説明を受けているときの写真に写っているTシャツとかグラスとか色々売っています。個人的にはコースターのセットが欲しかった…。今回は予算の都合で断念しましたが次回買おう。

カンティヨン醸造所見学ツアー

  • Cantillon Brewery-Musée Bruxellois de la Gueuze
  • 住所:Rue Gheude 56
  • アクセス:地下鉄Clemenceauから徒歩
  • 時間:平日の9:00~17:00、土曜日の10:00~17:00
  • 料金:大人7ユーロ(試飲2杯付)、12~18歳と60歳以上は6ユーロ
  • 電話:02-521-4928
  • Web:www.cantillon.be

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日本でカンティヨンのビールを飲むには

これを読んでランビックと言うビールに興味を持ったそこのあなた!わざわざベルギーまで行かなくても日本でも飲めますよ!

カンティヨンはランビックの中でも最も有名なブランドなのでベルギービールに強いビアバーや外国ビールの品ぞろえのいい酒屋なら手に入ります。ちなみに日本の総代理店は小西酒造(株)です。

もちろんAmazonや楽天でも買えますよ。時間がない方や面倒くさがりなあなたはここから注文!

コメント

  1. […] ールを味わえるので興味が湧いたらぜひ飲んでみてください。びっくりしますよ! (参考:【ベルギー】ランビックビールで有名なカンティヨン醸造所を見学してきた | my pace, my life) […]