日本とは国交がない国、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)。
国交がないため日本人は北朝鮮を訪れることはできないと思っていませんか?
実は北朝鮮はお金さえ払えば簡単に、そして安全に旅行することができます。今回は実際私が訪朝した方法を中心に北朝鮮へ行く方法を具体的に紹介します。
北朝鮮旅行に行く方法
北朝鮮では基本的に外国人の自由旅行は認められていません。そのため北朝鮮系の旅行代理店を通してツアーを組む必要があります。
ツアーは大きく
- 日本にある旅行代理店で手配する方法
- 中国の丹東や大連にある旅行代理店で手配する方法
のふたつのパターンがあります。
費用は基本的に2の「中国の丹東や大連にある旅行代理店で手配する」方が安くなります。
北朝鮮旅行の費用
気になる北朝鮮旅行の費用がどれだけかかるのか1、2それぞれ見ていきましょう。
1.日本にある旅行代理店で手配する方法
シルクロードトラベル インフォメーションセンター(STIC)の4日間モデルケースでは
参考料金: お一人様 ¥260,000.-から
お二人様 ¥248,000.-から
お一人部屋追加料金 ¥50,000.-から料金に含まれているもの
1. 平壌のホテル代(5星クラス)
2. 北京から平壌までの国際航空券代(エコノミークラス 往復)
3. 北朝鮮国内での日本語ガイド + 観光
4. 食事(朝食 3回 昼食2回 夕食3回)料金に含まれていないもの
1. 日本から北京までの国際線航空券(別途承ります。)
2. 北京⇔平壌間の航空諸税を申し受けます。(約\22,000.-)
3. 朝鮮VISA代 ¥10,000.- 北京空港で、お渡しいたします。
4. 遺跡や博物館などでのカメラやビデオ撮影代は不要です。
5. ガイドやドライバー、ホテルスタッフへのチップ
となっています。
2.中国の丹東や大連にある旅行代理店で手配する方法
実際に私が利用した中朝国境の街、丹東にある旅行代理店遼寧鴻祥国際旅行社(いつのまにか中国丹東金華国際旅行社から社名変更されたみたいです)では平壌-開城3泊4日一人参加では145,000円相当の中国元です。
支払い金額が日本円で固定されているため円高メリットを受けることができませんが円安になっても支払う金額が増えないというメリットがあります(なお為替が大幅に変わったときは料金改定が行われるようで、私が2013年12月に訪朝した際の値段は135,000円でした)。
なお参加者を10人以上集めることが出来れば10万円まで値段は下がります。 1の方法と比べて10万円以上値段を浮かせることが出来ます。
そしてメールでのやりとりは日本語で問題なくできます。
さて、この代金ですが。代金だけを見ると一見法外に高いように思えるかもしれません。しかし旅行代金には
- ビザ代金
- 北朝鮮入出国にかかる交通費
- 日本語ガイド(2人分)
- 専用車
- 運転手
- 最高級ホテルの宿泊費
- 旅行期間中の全食事
- 観光地などの入場料
などが全て含まれています。
ここで注目したいのが1番のビザ代金。日本の旅行会社では別途10,000円かかることになっています。
どちらを利用する場合でも日本から北京などへの航空券は別途手配する必要があることに注意が必要です。これを高いと見るか安いと見るかはあなた次第。これ以外に必要なお金は献花代、個人的な買い物(飲み物やお酒代、お土産など)だけです。
ツアーの申し込み方法
ここからは私が実際に利用した担当の遼寧鴻祥国際旅行社で申し込む方法を詳しく見ていきましょう。
旅行会社にメールを送る
ツアーの開始10日前までにメールで必要事項を送ります。担当者は日本語の読み書きができるので日本語で送ってしまって構いません。
必要な事項は
- 氏名
- 勤務先の名前、電話、住所
- 職務
- 家庭の住所、家庭の電話
- 携帯電話番号(日本のものでも国際ローミングで電話できるのであれば可)
- 旅券のコピー
です。これらの事項をメールで送ります(最新の必要事項、メールアドレスは旅行代理店のウェブサイトで確認してください)
記載事項に漏れがなければ後は出発日を待つだけです。なお、無職だと都合が悪いような気がしたので適当な勤務先を記入しましたが、勤務先はビザに記載されます(下記写真ではぼかしています)。北朝鮮の置かれた状況を鑑みてジャーナリストなども避けた方がいいでしょう。
旅行代金の支払い
ツアーの代金は出発当日に旅行会社のオフィスで支払います。代金は日本円相当額を中国元で支払います。事前にメールで中国元だといくらか聞いておくとスムーズです。支払金額が高額なので、前日までに用意しておくといいと思います。
<遼寧鴻祥国際旅行社地図>
北朝鮮ビザの受け取り
料金を支払うとビザなど必要な書類をもらえます。北朝鮮のビザはパスポートに貼られるタイプではなく別紙になります。このカードに入出国ならびに諸々のスタンプが押され、出国時に回収されることになります。
北朝鮮旅行ツアーの大まかな流れ
ツアーのスタート
旅行代理店で諸々の手続きを終えたらスタッフと共に丹東駅に移動します。丹東駅では買い物をする時間があるので昼食を買いましょう。
なお、出発日の昼食はツアー代金に含まれていますが自分で購入することになります。40元分が昼食代ということだったので私は40元ツアー代金から返却してもらって自分で買いました。その方が安上がりです。
北朝鮮入国時の注意
電車は新義州で北朝鮮の入国手続きを経て、ピョンヤンまで行きます。入国時の荷物検査はかなり厳しく、特に体制批判につながる書物を排除するため、本のチェックは厳しいです。
担当者は日本語が分かるわけではないため少しでも怪しいものは没収される可能性があるので持ち込む書類には注意しましょう。またポルノ類に関しても非常に厳しいので注意が必要です。
私は電池が切れていると嘘をついて免れましたが、パソコンの中見に関してもチェックされます。ケータイも持ち込み可能ですが、GPSの有無やメーカー名などを聞かれました。今どきのケータイにはほとんどGPSが付いていると思いますが、没収される可能性があるのでGPSは付いていないと嘘をつきましょう。
荷物検査後はこんな感じになります。詰め直すのがめんどくさいです。
新義州から平壌まで
入国後平壌までは自由行動です。といっても電車の中なのでできることには限りありますが。ガイドもおらず思う存分写真を撮ることができます。また偽りのない純粋な北朝鮮の情景が車窓に広がっているので、ある意味北朝鮮旅行で一番の見どころかもしれません。
平壌到着後
平壌駅のプラットフォームでガイドと合流し、それ以降は常にガイドと行動を共にします。
ホテル内は自由行動できますが、夜間にホテルから抜け出すことはできませんので注意してください。ガイドの指示に従っていれば基本的に安全で、トラブルに巻き込まれることはありません。
2日目、3日目にはピョンヤン市内、板門店・開城観光が待っています。
北朝鮮出国
最終日は初日の逆で、ピョンヤンから丹東に電車で戻ります(ツアーによっては飛行機で出国するパターンもあり。旅行代理店に要相談)。行きと同じで特に注意点はありません。
私個人の経験ですが、出国手続きは入国時より簡易で、写真のチェックもありませんでした。基本的にガイド同伴で行動するため、センシティブな写真を撮ることが困難なためだと思われます。前述のとおりビザはここで回収されます。
北朝鮮から出国すると、相当安心することと思います。
丹東到着、解散
丹東に付いてツアーは終了です。丹東駅に着いたらもう完全に自由行動です。旅行代理店に行く必要もありません。
私は事前に丹東→瀋陽の電車のチケットを購入しておいたので、そのまま数時間時間をつぶして、瀋陽に夜行で移動しました。中国では当日電車のチケットを購入するのは困難なので、北朝鮮ツアー出発前にに帰りの電車チケットは買っておいた方がいいでしょう。
危険・怖くないの?安全面について
北朝鮮との間に拉致問題を抱える日本。北朝鮮の領土にのこのこ足を踏み入れて危険じゃないの?と思われる方も多いでしょう。
ガイドの指示にしっかり従い不用意な行動を取らなければまず問題ありません。
なぜなら各国から経済制裁を受けている北朝鮮にとって、外国人旅行者の受け入れは貴重な外貨獲得手段。旅行者数やリピーターを増やすことは国の今後を左右する重大なミッションなのです。
しかし、これに関して私は100%安全だと言い切ることはできません。あくまで自己責任です。ただ私の友人にも何人か北朝鮮を訪朝した人がいますが、私を含めてみんな何事もなく帰ってきているのも事実です。
北朝鮮は遠くない
どうでしたか?北朝鮮に行くことの是非はともかくとして北朝鮮には簡単に行くことができるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
関連情報
世界新聞というウェブサイトに北朝鮮旅行についての記事を寄稿しました。全6回です。北朝鮮旅行記を読みたい方、ツアーでどこに行くのか、どのような感じなのかを知りたい方にお勧めです。
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