チェコ政府観光局さまのご厚意で渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで現在開催中の「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―線の魔術」展のチケットを頂戴したのでさっそく見てきました!
今回は「みんなのミュシャ展」の概要・魅力と実際に行ってみてきた感想を紹介します。
「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―線の魔術」展概要
「みんなのミュシャ」展の概要は以下の通りです。
- 展覧会名:みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―線の魔術
- 会場:Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷・東急本店横)
- 会期:2019年7月13日(土)~9月29日(日)
- 開催時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)、毎週金・土曜日は21:00(入館は20:30まで)
- 休館日:7月16日(火)、7月30日(火)、9月10日(火)
- 入館料(税込):一般1,600円、大学・高校生1,000円、中学・小学生700円
- お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
- 公式ウェブサイト: https://www.ntv.co.jp/mucha2019/
- 公式ツイッターアカウント:@mucha2019
- 公式インスタグラムアカウント:@mucha2019
Bunkamura ザ・ミュージアムへのアクセス
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1
- JR線/「渋谷駅」(ハチ公口)より徒歩7分
- 東京メトロ・銀座線、京王・井の頭線/「渋谷駅」より徒歩7分
- 東急・東横線、東急・田園都市線、東京メトロ・半蔵門線、東京メトロ・副都心線/「渋谷駅」(3a出口)より徒歩5分
- 美術館に専用駐車場はありません。東急本店駐車場をご利用ください。(有料)
ミュシャってどんな人?
今回の展示会の主役ミュシャとはどんな人なのでしょう?
展示会パンフレットによると、
アール・ヌーヴォーを代表する芸術家アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)。「線の魔術」ともいえる繊細で華やかな作品は人々を魅了し、ミュシャ様式と呼ばれるそのスタイルは、後世のアーティストに影響を与えてきました。
とあります。
2017年国立新美術館にチェコ国外で初めて全20点が展示された「スラブ叙事詩」などの他、数々の有名な作品があります。
余談ですが、ミュシャというのはフランス読みで、チェコ語ではムハと呼びます。
「みんなのミュシャ」展の魅力
今回のミュシャ展は、チェコのミュシャ財団監修のもと、ミュシャの幼少期の作品(なんと8歳の頃のキリストの絵!)や彼が絵を描く際に参考にしていた蔵書や工芸品、まだ名声を得る前の若かりし頃に手掛けた数々の作品から始まり、彼が名声を得るに至った有名なポスターがずらりと並ぶ珠玉の展覧会です。
さらに!ミュシャ本人の作品だけでなく、彼からインスパイアされた内外のアーティストの作品も多数展示されています。
この展覧会を見ることで「あの人もミュシャの影響を受けていたのね!」と感じることができると思います。
実際に「みんなのミュシャ」展に行ってきた
と、いうことでチケットを頂いた翌日にさっそく行ってまいりました。ここからは実際に行ってみて感じたことをつらつら連ねていきたいと思います。
渋谷は人が多くて怖いところだ
わたくし今回このミュシャ展を見るために初めてBunkamuraを訪れたわけでございますが、渋谷というのはいつ行っても何度行っても人がゴミのようにごったがえしていて恐ろしいところですね。田舎者の私には東京はオソロシイトコロデス。
ミュシャ展はBunkamuraの地下で開催中です
Bunkamura入るとミュシャ展への導線はバリバリ張ってありますので迷うことなく会場までたどり着けると思います。
当日券も入り口で買うことができますので、とにかく地下を目指しましょう。
「みんなのミュシャ」展の構成
「みんなのミュシャ」展は大きく5つの展示にわかれています。
- 序-ミュシャ様式へのインスピレーション
- ミュシャの手法とコミュニケーションの美学
- ミュシャ様式の「言語」
- よみがえるアール・ヌーヴォーとカウンターカルチャー
- マンガ家の新たな流れと美の探求
大きな流れとして、幼少期の作品からミュシャの人生を追いながらミュシャ様式が確立されていく前半パートと、ミュシャの影響を受けた国内外のアーティストの作品が展示される後半パートにわかれています。
私は借りませんでしたが、会場入ってすぐのところでは550円で音声ガイドを借りることもできます。
展示は基本的に撮影禁止ですが、ミュシャ様式の「言語」ブースだけ、会場風景の写真撮影が許可されています。
今回ブログに掲載している写真も撮影可能エリアのものとなっております。
ミュシャ様式が確立されていく過程
5つの展示パートの前半3つはミュシャの作品が中心で、ミュシャの幼少期の作品からミュシャの人生を追いながらミュシャ様式が確立されていく過程を追っていくパートになっています。
特に印象的だったのはミュシャが8歳の頃に描いたキリストの磔刑です。日本で言ったら小学校3年生。その時点でこれほどの絵を描いていたとは…。と唸りました。
こちらは展覧会公式サイトでも閲覧することができます。
ミュシャの作品というと大胆な線で切り取られたポスターが有名ですが、まだ有名になる前のミュシャの作品には写実的な作品も多く、我々が普段ミュシャ、と聞いてイメージする絵とは違ったテイストの絵も多数描いていたこともわかりました。
そういったイメージを覆される経験も展覧会ならではといえるのではないでしょうか。
前述したように第3パート「ミュシャ様式の「言語」」コーナーは会場風景の撮影が可能です。
「会場風景の撮影」が可能と書いてあったり、写真撮影できるエリアがグレーの線の外側(閲覧は黒の線の外側まで可能で、数十センチ差がある)ということから個別の作品の写真を撮ることは許可されていないようでしたのでご注意ください。
作品の展示数も多く、どの作品も素晴らしく美しかったので非常に満足なコーナーです。
プラハ市民会館「市長のホール」に描かれたフス戦争の英雄ヤン・ジシュカをはじめとする壁画の習作も!
ミュシャが後世のアーティストに与えた影響
展示後半の2つのパートはミュシャの影響を受けた国内外のアーティストの作品が展示されています。
ミュシャが亡くなったのは1939年ですが、その後第二次世界大戦が勃発します。そして戦後世界は西側陣営と東側陣営に二分されます。ミュシャが晩年を過ごしたチェコは東側陣営に組み込まれ、チャーチルの言うところの「鉄のカーテン」で東西は隔てられてしまいました。
パリで長いこと活動したミュシャでしたが、冷戦の中でミュシャの存在感は次第に薄れていきました。
そんな折、1963年ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館でミュシャの回顧展が開かれ、ミュシャの再評価が始まります。
こうしてロンドンやサンフランシスコのグラフィックアーティストに強い影響をミュシャが与えたことによりミュシャ様式は、アメリカンコミックやロックバンドのジャケットなどに多く採用されていくことになりました。
ミュシャ様式はイギリスやロンドンだけでなく日本にも普及してきます。ミュシャがパリで活躍していた当時、パリで美術を学んでいた日本人留学生から輸入された彼の様式は、与謝野鉄幹が主宰した『明星』の表紙や与謝野晶子の『みだれ髪』の表紙などに大きな影響を与えています。
冷戦時代西側諸国でミュシャの再評価が行われ、ヒッピームーブメントやロックアーティスト、アメコミ作家にも影響を及ぼした。それだけでなく、ミュシャ様式は当時パリに留学していた画家から日本にも輸入され与謝野晶子の『乱れ髪』の表紙にも影響を与えたというのは面白かった。
— 三矢英人@Team®️ (@hideto328) August 6, 2019
当時は日本が明治になって開国してヨーロッパでジャポニスムが盛んになっていたころ。同時代の画家ではゴッホの作風に浮世絵が影響を与えたと言われているが、逆にヨーロッパ的なものも日本の画家に大きな影響を与えていたというのは大きな気付きだった。
— 三矢英人@Team®️ (@hideto328) August 6, 2019
そしてそれは、現代にも受け継がれ様々な漫画家の作品にも影響を与えているのです。
個人的にはテレビゲームソフト『ファイナルファンタジー』シリーズのイラストを描かれている天野喜孝さんの作品を間近で見ることができて非常に感動しました。
魔性の物販コーナーで散財する
展示の最後にはおなじみの物販コーナーがあります。
図録やポストカードなどの定番商品はもちろんのこと、エコバッグやTシャツ、ポーチなど様々な商品が販売されていました。中には複製原画やオリジナル版画の販売も。
ミュシャの線に魅了された後のこの物販コーナーは魔性でした。
結構自重しましたが、それでも物欲が爆発してたくさん買ってしまいました。クリアファイルも欲しかったなあ……。
最後の物販コーナーも最高でした。入ったときは図録なんて全然買う気なかったのに図録はおろか、ポストカードにブックマークまで買ってました。 pic.twitter.com/GpUudMuQUr
— 三矢英人@Team®️ (@hideto328) August 6, 2019
グッズ詳細は公式サイトでご確認を!
週末は21時まで開館しています
東京以外の巡回展での営業時間は不明ですが、渋谷Bunkamuraに関しては週末は遅くまでやっているのも非常に魅力的です。
働いているとなかなか美術展に行くのは難しいと思いますが、「みんなのミュシャ」展は金曜日、土曜日21:00まで開いているというのは嬉しいポイントですよね!実際私も金曜日の17時ころ美術館に行きましてそれから1時間半くらい見学しました。
「みんなのミュシャ」展は東京以外でも開催されます
9月29日まで渋谷Bunkamuraで展示されているこの「みんなのミュシャ」展ですが、東京展が終わった後は、京都、札幌、名古屋、静岡、松本でも巡回展が開催される予定です。
巡回展概要
- 京都展:京都文化博物館(2019年10月12日(土)~2020年1月13日(月・祝))
- 札幌展:札幌芸術の森美術館(2020年1月25日(土)~4月12日(日) )
- 名古屋展:名古屋市美術館(2020年4月25日(土)~6月28日(日))中止
- 静岡展:静岡県立美術館(2020年7月11日(土)~9月6日(日))
- 松本展:松本市美術館(2020年9月19日(土)~11月29日(日))
日本の漫画家作品は作品保護の観点から展示される原画は会場によって異なるそうです。
まとめ:ミュシャ好きでもそうでなくてもこの夏一番のおすすめ展覧会
ぶっちゃけた話、チケットもらえるという話が来るまでこの展覧会に行く気はあまりなかったんですよね。
でもタダでチケットもらえるなら東京行く日についでに行ってみるか、というすごく軽い気持ちで行ってみたら、ミュシャの美しい線に即座に魅了されていました。
私はもともと展覧会とか結構行く人間で、日本でも気になった企画展があればよく行っていましたが、過去訪れた展覧会と比べても今回のミュシャ展はかなりレベルが高くて面白い企画だと思います。
チェコ好き、ミュシャ好きはもちろんのこと、「ミュシャとかあまりよくわからない~」っていう人も公式サイトに載っている作品をチラ見して興味を持ったらぜひ行ってみてください。チェコ親善アンバサダーだからとかいうのではなく本当に良かったので。
おまけ
他のチェコ親善アンバサダーの方も「みんなのミュシャ」展のレポートを執筆されています。併せてご覧ください!
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