サンティアゴ巡礼をしたい人のために基礎講座です。今回は巡礼宿「アルベルゲ」について解説します。
アルベルゲとは何か?
アルベルゲ(Albergue)とはサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼者のための巡礼宿です。
大きく公営(Municipal, Pubrico)アルベルゲと私営(民営、Privado)アルベルゲのふたつがあり、公営アルベルゲは地方自治体や教会などが、私営アルベルゲは個人などが運営しています。
一般的に公営アルベルゲの方が安い代わりに大型施設で、設備はショボいことが多く、私営アルベルゲは値段は高めなものの規模は小さく、設備も充実していることが多いです。
アルベルゲは大きく2種類
- 公営(Municipal, Pubrico):地方自治体や協会などが運営、安いがしょぼいことが多い
- 私営(民営、Privado):個人などが運営、高めだが設備が充実していることが多い
巡礼者向けの宿泊施設なので宿泊に当たってはクレデンシャル(巡礼手帳)が必要です。
アルベルゲの設備
アルベルゲと一口に言っても設備はピンからキリまであります。ここでは一般的な設備について説明します。
ベッド
基本的には2段ベッドが並んだドミトリーです。私営アルベルゲには個室を用意しているところもあります。
今日のお宿、ワイのベッドは手前上です。 #カミーノ #フランス人の道 pic.twitter.com/CoV6qk8dMf
— 三矢英人 (@hideto328) July 10, 2017
今日の巡礼宿、(約)100ベッドドミ。 #カミーノ #フランス人の道 pic.twitter.com/e8USwtEEd1
— 三矢英人 (@hideto328) July 13, 2017
寝具もアルベルゲによって大きく異なり、ベッドの上にマットレスと枕があるだけ(掛け布団はない)というところが多いものの、普通のゲストハウスのように立派な設備を持つアルベルゲもあります。
シーツは自前のシーツや寝袋を使うところが多く、持っていない場合は有料(1~2ユーロ)で借りるか宿泊できません。ガリシア地方の公営アルベルゲでは紙製の使い捨てシーツを無料で配布されることが多かったです。
南京虫が出たとか、ダニに刺されたとかいう話もよく聞くので私はCocoonのトラベルシーツを持っていきました。お勧めです。
シャワー
シャワーは基本的にお湯が出ますが、温度が低いところも多いので秋から春にかけて巡礼した人はシャワーが冷たくて苦労したという話もよく聞きました。
充電・WiFi
基本的にコンセントは数が足りてないので早いもの順に充電していき、宿泊者同士で融通していく感じです。そのためモバイルバッテリーを持っていくことをお勧めします。
私はスマホが盗難される可能性を減らすため枕元にコンセントがある場合を除いて、モバイルバッテリーをアルベルゲで充電し、スマホ自体は歩きながらモバイルバッテリーで充電していました。
ただし、コンセントが少ないといってもスマホやカメラの充電が切れて困った!ということはなかったのでみんなで融通しあって何とかなります。
WiFiはアルベルゲによってあったりなかったりです。感覚として半分以上のアルベルゲにはWiFiが付いていると思います。特に私営アルベルゲはWiFi付きの所が多いです。ただし公営、私営ともに速度は遅いです。
今泊っているアルベルゲ(巡礼宿)にはWiFiがなくて同じ値段の別のアルベルゲにはWiFiがある。でみんなそのWiFiがあるアルベルゲのバルで酒飲みながらネットしているわけです。みんな、最初からこっちに泊まれば良かった。値段も同じだしね、と言っている笑 #カミーノ #フランス人の道
— 三矢英人 (@hideto328) July 17, 2017
それでもスペインはちょっとしたバルやカフェでもフリーWiFiの所が多いのでネット環境にはあまり困りませんでした。
また、パンプローナなど大都市であればプリペイドSIMカードが簡単に手に入るのでSIMフリースマホをお持ちの方は現地でSIMカードを買うのもいいと思います。LebaraやLycaなどのMVNO(格安SIMカード)ならSIMカード本体無料、インターネット1GB6~7ユーロくらいです。
ロッカー・貴重品入れ
ロッカーの有無もアルベルゲによってまちまちですが、感覚的にはロッカーのあるアルベルゲは3~4割くらいでしょうか。
残念なことに巡礼宿でも盗難事件がしばしば発生します。電化製品の充電や就寝時など、貴重品の管理には気を付けてください。
キッチン
自炊は結構苦労しました。
私が歩いた時も節約のため自炊する気満々で調味料等色々持って行ったのですが、キッチンがあるアルベルゲは思っていたほど多くはありませんでした。
持っていた地図にはキッチンがあると書いてあってもいざ行ってみたら電子レンジがあるだけだったり、ガリシア州の公営アルベルゲなどキッチンはあるけど調理器具・食器がなかったりと設備に問題があるところが少なくありませんでした。
立派なキッチンはあるが調理器具がない安定のアルベルゲクオリティ。 #カミーノ #フランス人の道
— 三矢英人 (@hideto328) July 31, 2017
また、小さい街ではキッチンはあるけど、食材があまり手に入らなかったりと、キッチン、食材のどちらかがそろわないことが多くなかなか自炊できませんでした。
プール
アルベルゲによってはなんとプールが付いていることも!
到着。プールついとる! #カミーノ #フランス人の道 pic.twitter.com/Y7GhtXEgmM
— 三矢英人 (@hideto328) July 19, 2017
アルベルゲの料金
公営、私営の別や国や州によっても変わってきますが、スペイン内の公営アルベルゲで5~10ユーロ位です。一般に私営アルベルゲの方が値段は高い傾向にありますが、それでもスペイン内なら高くて15ユーロ以下(大体10~12ユーロ)に収まると思います。
一部のアルベルゲは寄付制(Donativo)を採用しており、夜や出発時などに備え付けの寄付箱にお金を入れるところもあります。私は大体公営アルベルゲと同じくらいの金額を入れていました。
アルベルゲのルール
アルベルゲは巡礼者のための宿であるため基本的に一泊しかできません。そのため同じ町に連泊したい場合は連泊できる私営アルベルゲを探すか、翌日他のアルベルゲに移動する必要があります。
チェックインの時間も決まっており大体13時~14時以降からチェックインできるようになり、朝は8時くらいまでにはチェックアウトしなければなりません。
夜間は門限があるところが多く、22時ころまでにはアルベルゲに戻らなければなりません。そのためパンプローナやブルゴス、レオンなど比較的大きく観光スポットが多い街では普通のゲストハウスやホテルに宿泊する巡礼者もいます。
アルベルゲQ&A
ここでは巡礼前に知っておきたいアルベルゲの様々な疑問をQ&A形式で解説します。
食事は付いている?
食事の有無はアルベルゲによって異なります。
公営アルベルゲは基本的に食事は付いておらず素泊まりですが、私営アルベルゲは食事付きのところも多くあります。そういうアルベルゲであれば宿泊時に食事の要否を聞かれます。
食事は夕食のみ、朝食のみ、朝夕2食など選べる場合が多いです。
食事の料金ですが、決まっているアルベルゲと寄付制のところがあります。大体夕食が7~15ユーロくらいです。
アルベルゲで食べる夕食は他の巡礼者との交流の機会でもあるので私は結構好きでした。
洗濯はできる?
基本的にどのアルベルゲでも手洗いで洗濯はできます。また洗濯物を干すスペースも十分にあります。アルベルゲによっては有料で洗濯機や乾燥機を貸してくれるところもあります。
巡礼シーズンのスペインでは外に洗濯物を干せば数時間で乾いてしまうので雨でも降らない限り乾燥機は必要ないと思います。
また仮に朝まで乾かなくても翌日歩く時にバックパックに括り付けておけばすぐ乾きます。靴下など乾きにくいものは大体みんなバックパックに付けて乾かしながら巡礼しています。
一年中開いているの?
公営アルベルゲは通年営業の所が多いですが、私営アルベルゲの多くはオフシーズン(11~3月)には閉鎖するところが多くあります。
アルベルゲ同士は横の繋がりが結構あるので、アルベルゲのスタッフに問い合わせてみたらどのアルベルゲが営業しているか教えてもらえると思います。
サンジャン・ピエ・ド・ポーの巡礼事務所でもらえるアルベルゲ一覧や巡礼ガイドブック、地図なども参考になります。
宿泊の予約はできる?
公営アルベルゲは基本的に予約不可能ですが、私営アルベルゲは予約できるところもあります。
営業しているアルベルゲが少ない冬季の巡礼に関しては、事前にその日に泊まるアルベルゲを予約し、そこに向かって日々歩いていくのが重要だそうです。
まとめ
以上でスペイン巡礼においてかなり重要なアルベルゲのことが大体理解いただけたのではないでしょうか?
私も巡礼を始めたばかりのころはアルベルゲのことで心配なことがたくさんありましたが、習うより慣れろ。日に日に自分に合ったアルベルゲが分かるようになってきます。
例えば、私の場合はあまりに大きすぎるアルベルゲは苦手だったので50ベッド以下のアルベルゲを選ぶようにしていました。
また、ほかの巡礼者からもどのアルベルゲがいいとか悪いとかそういう情報交換をすることがよくあります。
だから、最初は心配なことも多いと思いますが、巡礼を始めてしまえば何も心配することはないということがわかってもらえると思います。
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